蛇腹警察Vol.1 宮内トモユキ:小さな喫茶店Homeri/四ツ谷・東京

この度、蛇腹党の新しいコンテンツとして始まりました「蛇腹警察」
このページでは毎回蛇腹楽器を取りまく人々にフォーカスしていきます!
第一回目は今年7/19で9周年を迎えた、小さな喫茶店“Homeri”のマスター宮内トモユキさん
です!
アコーディオン好きは皆知っている小さな喫茶店ホメリさんですが、なぜアコーディオン
のLIVEや「アコーディオン友の会」などのイベントを多く企画するようになったのでしょ
うか。
同じサービス業でも全く違う職種に就いていて、喫茶店も経営の経験も知識も全くありませんでした。
オープン当初 今の様に音楽LIVEをすることは考えてなくて、純粋に喫茶店を経営するつもりでしたね。
“ヨーロッパ?のどこかの森で昔からひっそりやってる不思議で可笑しげな店”
そんな変なコンセプトで(笑)
お店のBGMにはどんなものが合うのか?そんなことを思いつつ、ざっくりとした自分のヨーロッパ感やホメリに合いそうなものをかけていたけど、この時点でアコーディオンを強く意識していることもありませんでした。
中山うりさんが好きで、こんな感じいいなとか・・・中学生の頃にテレビで流れてたのをきっかけにCobaさんは知ってたけど、アコーディオンという楽器はそのくらいの認識でしたね。
中学生の時に、地元のショッピングセンターのCDワゴンにブリキ缶に入ったオシャレCDを見つけ、これでオシャレになれるのでは!?と淡い期待を込め買い早速かけるてみると。っは!?なにこれ。って感じだったんです。
当時はロックばっかり聴いていて、今思えばめちゃ偏りな基本思考でしたね(笑)
そのオシャレCDってのがフランスのミュゼットでした。
あの時からずっと放置していたその音楽・・・「あの感じがなんか合いそうかも」ってふと思い立ちタワーレコードへ探しにいったんです。
“ミュゼット”というのもジャンルもわからなかったので、とりあえずWorld Musicのコーナーへ・・・
そこに「パリ市ロマンチッ区」というザッハトルテのCDがあったんです!
ジャケットから漂うヨーロッパなお洒落感、帯解説も揺さぶられるワード満載!視聴はできないけど「この感じは合いそうだ!」って思って、買って帰ってここで聴いたら、
これだ!!こういうのが欲しかったんだ!!って、思った通りだったんですよ。
思えばそれが今のホメリを創っていく最初きっかけですね。
素敵な出会いですね、そこからLIVEもしよう!となったんですか?
全然!
当時LIVEは年に2~3回くらいで、前職で知り合ったギタリストさんや、その方が紹介してくださったミュージシャン(実はレジェンド)が中心で、アコーディオニストは全く知らない状態でした。
ザッハトルテさんを知り、SNSで都丸智栄さんとなぜかアニメの話でなぞの盛り上がりをしたのをきっかけに、ザッハトルテのLIVEに行くようになり、そこで強烈に刺激を受けたのを覚えています。
ある時、都丸さんがここに来てくれて、その時アコーディオンのあらゆることを都丸さんから教えてもらいました。
どんなジャンルがあって、どんなアーティストが居て、日本で活躍してるミュージシャンにアコーディオン弾き、この人 凄いヤバイ、面白いとか。
佐藤芳明さん、小春さん、原田忠さん、アラン・パットンさんなどなど、それはも色々な名前が出てきて。その頃自分でも調べたりはしてたけど全く知らなかった方もたくさんで、アコーディオン弾き問わず、オススメのアーティストのLIVEはどんどん行くようにしてましたね。そこで自分の痕跡を ホメリの宣伝をと、名刺を演者さんとお客さんに渡したりしてました。
そんなワクワクドキドキの日々の中で、都丸さんがホメリでも何かやろうよ!って言ってくれたんですよ。それが今あるライブの流れの始まりですね。
それからはハッチハッチェルさん、梅津和時さん、佐藤芳明さん、ジョンジョンフェスティバル、カウリスマキ、チャランポ、藤野由佳さん、アランさん、熊坂るっちゃんなどなど一気に増えていきました。
都丸さんとは、誰をゲストに次のライブしよう?って二人でよく悪巧み(笑)してましたねサイゼリアで。
アコーディオン友の会(※1)が生まれたきっかけはなんでしょうか?
そうですね、LIVEをやり始めて2年くらいの頃、2012年くらいかな?アコーディオンの
LIVEが増えてきて、当然アコーディオン好きなお客さんが多く観に来るようにな
っていました。
「アコーディオン界は情報が少なくて交流がしにくい」というのをお客さんから聞いていて、例えば先生と生徒、その友達とかだけになっちゃうんですと。
ここはアーティストも沢山出ていて発信と交流が生まれる、そんなホメリを素人の私達の交流の場にできないか?とサークル開催の希望があったんです。
僕もそれはすごくいいな!と思って、そこから始まりました。
※アコ友のノートをみる宮内さん。「初回は2013年6月11日!当時はこれを期に自分もアコーディオン始めようかな、なんて思っていて(笑)」現在はベースプレイヤーとしてバンドで活躍中。
アコ友を始めてみると、アコーディオンをやってるひとってこんなにいるんだ!ってびっ
くりしましたね。他の楽器に比べるとプロは少ないとは感じていたのですが、趣味で弾いている人はこんなにいるんだ、と。
どんな先生や教室があるとか、鍵盤・ボタンとか楽器の情報とか交換したり、弾き方とか教えあったり。それから「これからアコーディオンを始めたい」っていう人も来るようになって、初期からみるとずいぶんメンバーは入れ替わったりしてるんだけど、ほんといろんな人が参加してくれてます。
6年強ほぼ毎月の頻度で開催しているということですね!最近は「バンドネオン友の会」
も開催されているということで、何かそこからの変化や感じた事があれば教えてください
僕はプレーヤーではないので、見守るだけで常に中立の立場を心がけています。
例えば僕だったら都丸さんからいろいろ教わったけど、当然好きなプレーヤーもいるし、皆
も習ってる先生がいたりいなかったり、先生も自分自身もそれぞれ教え方が違ったりする。
そういう教え方、好みの感覚、感じること一つで世界が広がったり、反対に閉じてしまったりする事があるので、閉じてしまう事の方をなるべく少なくなるように心がけてます。
例えば誰々さん色が強いとか、縛りがあったり、そういうことがあると続かないし広がらないし、つまらなくなっちゃう。そういう雰囲気が見えはじめたりしたら、ちょっと声を掛けたり話し合ったりして調整していく事もありますね。
僕自身がハマってしまいやすいタイプってのもあって(笑)、だから自分はみんなとこの会を見守る立場になろう。垣根を越えて色んな人が来て、楽しかったらまた来て、弾かなくてもお酒飲んで話して、そんなスタンスでいたので今まで続いてきました。
今まで長年蛇腹楽器を見守ってきて、印象に残ったこと、今後のホメリの事などあれば教
えてください。
何も知らなかった状態から、キラキラのフレンチスタイルアコ、それぞれ個性溢れるアコーディオン弾歌い、チャンバー(笑)、都丸サウンドからアラビア音階とか変拍子を知って中近東ロマ音楽にぶっ飛んでみたり、アイリッシュ、佐藤芳明さんからフリーベースってのを知ったり、音の抜き差し リズム遊び、ジャズのアプローチ、波(トレモロ)の無いアコーディオンのモダンな音色・・・似ているようで違うバンドネオンの音と謎の存在感にとにかく面白くてみんなそれぞれカッコイイ!すげーな!!って。
 ミュゼットって優雅でキラキラ華やかで・・・みたいな感じ方をしてたんですが、それはそういう感じの楽曲があるってだけで、単なる自分のイメージだったんですよね。
そこで“ミュゼット”を勉強させてくれたのは安西はぢめさんです。安西さんはミュゼットの風景や背景を教えてくれた上で名曲をバンバン弾いてくれた。なぜ単調であるか、なぜ途切れないのか、なぜ短い曲なのか。ダンス音楽としてのミュゼット・進化した“観賞用のミュゼット”についての説明を聞いて衝撃でした。
なぜ中学の時に買ったミュゼットのCDが当時の僕には退屈だったのか、紐解かれた瞬間で
もありました。
あたり前かもですが、蛇腹楽器の種類、音楽ジャンルも演奏者も表現も音も、様々なスタイルとその人の思いがあるんだなと。楽器一つからもたくさんのことを感じられる。
そんなことを今までのたくさんの奏者から学びました。思い出せばきりがありませんね。
これからもここで面白くって刺激的で素敵な出会いがあることを楽しみに期待しています!
有難うございました!
小さな喫茶店ホメリ
東京都新宿区四谷三栄町9-5 坊ビル2階
営業時間 12時30分~19時
定休日  日・祝  TEL 03-6320-0790
※1アコーディオン友の会/バンドネオン友の会
月に1回不定期開催、参加日程はTwitter等で告知。
参加費無料 要飲食2オーダー
・楽器が無くても参加OK(アコーディオンは置き楽器アリ)