お待たせしました蛇腹党インタビューVol.6、今回は異色のロシア蛇腹楽器ガルモーシカ奏者、
堀内なつみさんです!!!!! (英訳・動画は順次UP予定です。)
※経歴・ライブ・活動情報及び英訳は文末にございます。(English translation is below,after the Japanese interview.)
堀内さんはロシア音楽研究をされて、ロシアの蛇腹楽器を使用されているということですが、まずは私達が知っている通常日本で流通しているアコーディオンとの違いを教えてください。
ロシアの蛇腹楽器というとバヤンの方が有名かと思いますが、私が現在演奏に使っている楽器はガルモーシカといいます。厳密に言うとガルモーシカの1種であるフロムカというものです。
ガルモーシカの見た目はダイアトニックアコーディオンと似ていますが、押し引き同音です。(一部のガルモーシカは押し引き異音のものもあります。)
右手の音階はピアノ鍵盤でいうところの白鍵だけがある(大型の楽器にはオプションで一部の黒鍵あり)楽器なので決められた調性のみを演奏出来る楽器になります。
違う調を演奏したい時は楽器を持ち替えて演奏するのでブルースハープのような感じです。
堀内さんは(経歴参照)ロシアの音楽を研究しているところからガルモシカに出会ったということですね。
ロシア音楽、ガルモーシカの魅力を教えてください。
当初はガルモーシカという楽器が存在するということすら知らなかったんです。
ガルモーシカを始めた切っ掛けの1つにロシアの歌の歌詞の存在があります。
ロシアのクラシック音楽では無い音楽を聴くようになり、バヤンやアコーディオンが日常の音楽の中に特別なものでは無く自然にバンドやオーケストラに居るという情景を見て、聴いてバヤンをやりたい!と当初は思っていました。
ですが、まず手に入れるのが困難であること、それから日本では違う配列のボタン式のアコーディオンの方がボタンの主流であることから自分にとっては自然にやれそうな鍵盤式アコーディオンを始めました。
アコーディオンを始めてからもバヤンへの憧れはあり、ロシアのバヤン情報サイトや楽器屋のHPをチェックしていて、やけに可愛らしい小さな楽器が目につくようになりました。
それがガルモーシカだったんです。また、ソ連アニメ《チェブラーシカ》の中でワニのゲーナが弾き語りで使っている楽器がガルモーシカです。お誕生日の歌とも言われている、ワニのゲーナの歌の歌詞でも『私はガルモーシカを弾く』と歌っています。その曲も自分のレパートリーにしていたので、せっかくだからガルモーシカで弾き語りたい!と思いました。
ガルモーシカというのは正式名称ではなく、日本では蛇腹楽器という分類でアコーディオン、バンドネオン、バヤン、コンサーティーナなどをまとめていますが、ロシアではガルモーニという括りでバヤンやアコーディオンなどに加えてハーモニカやピ鍵盤ハーモニカなど金属リードに空気を送り込んで音を出す楽器という分類になっています。
そのガルモーニ中で小さな可愛いものという意味合いでガルモーシカという名前で呼ばれています。
ガルモーシカは何でも出来る楽器ではありません。
前述のとおり調によるシバリもありますし、その調の中でも複雑なことは出来ません。
その代わりに音楽の基礎知識が無い人でも楽譜が読めなくても演奏が出来る楽器なんです。
もちろんこの楽器でも工夫と努力次第ではかなり音楽的な演奏も出来ます。
その不自由さも含めて愛せればとても素敵な楽器だと思います。
ロシア音楽の魅力とは、クラシックについては言わずもがなだと思いますので、私が好きでありとくに興味を持っている大衆音楽について述べます。
端的に言うと、素朴なものと現代的なものの共存や混在でしょうか。
何となく懐かしく感じるような音楽(例:ザ・ピーナッツの恋のバカンスはロシアでもヒット曲)とラップ音楽が同じ音楽番組で放送されてたりします。
そういった音楽の原点にクラシックの素養も見え隠れしていたり、というように様々な要素が混ざっています。
懐かしい系の音楽は日本人にも共感を得やすかったから歌声喫茶が流行った理由の一端なのではないか、とも思います。私が特に好きなのは、どちらかというと最先端ではない、少し垢抜けない感じがするタイプのロシアやウクライナの歌謡曲です。
大変興味が湧いて来ました…
堀内さんの今後の野望などはありますでしょうか?ガルモシカを通じてどの様な未来を描いていますか?
日本の古い音楽(明治〜昭和初期)の音楽にはロシアの大衆音楽と同じ音階で出来ている曲も多数あります。
ですので、ロシア・ウクライナ(旧ソ連)以外の日本の音楽などにもガルモーシカでトライしてみたいと思っています。
また元来は歌の伴奏楽器としての位置付けにあるガルモーシカを独奏楽器としても使っていこうと思っています。
野望としては現地での演奏でしょうか。
旧ソ連圏で日本の古い音楽で親しまれているものもありますし、現地の方々と文化交流を持ちたいと思っています。
ありがとうございました!
撮影:大崎 聡 / ヘアメイク:鎌田 真理子 / スタイリスト:露木 藍 / Direction:蛇腹党
撮影協力:中目黒Anje 中井歩