第陸話:筆者のバンドネオンに就いて

第陸話:筆者の楽器に就いて

 

コニチハ、外道伝道師 マルヤマです。

 

第伍話では可聴域内での音色の比較を Alfred ArnoldとKlaus Gutjahr 2社のバンドネオン間で行いましたが、「違い」が若干わかりにくい結果となりました。

この外道マルヤマ、Gutjahr Bandoneonユーザーの一員として今回はこの「違い」について具体的に列挙していきます。

 

第参話で書ききれなかったのでちょうど良いです。

 

「また、長げぇのが始まったよ。読むのめんどくせー」

 

そんないけずな事言わずに冥土の土産に読んでってくだせえよ。

村上〇樹やハ〇ーポッターより短いですから!

 

 

 

 

 

 

 

Gutjahr Bandoneonは伊達じゃない!

Gutjahr Bandoneonは多少クセのある楽器ではあります。

しかし、その性能を侮ってはなりません。

 

なぜなら、Klaus Gutjahr氏はバンドネオンの製作者であるだけではなく、プロの演奏者でもあるのです!

 

バンドネオンの演奏スキルを修得された方が製作をする、これはおそるべき事です。

世界中で他にこのような業者があるでしょうか。

 

 

 

バンドネオン製作において、Klaus Gutjahr氏自身が奏者として重視している技術的な項目は以下になります。

Klaus氏の製品ではこれらを満たしていなければならないということです。

 

1) チューニングの安定性
2) 開き弾き時と閉じ弾き時が同じ音色であること
3) 反応性の高いリード
4) 広いダイナミックレンジ
5) 全てのボタンの反発力が一定かつ開閉機構に不具合がなく完全であること
6) ボタンフィールドからのノイズがないこと
7) 蛇腹からの空気漏れが一切ないこと(高い気密性)
8) 音の響きに適した木材を使用

 

 

 

ドブレアーとは違うのだよ、ドブレアーとは!

 

8項目のうち、従来のバンドネオンとのコンセプトの違いを顕著に表しているものについて記載します。

 

「ふーん、それって筆者の個人的な意見ですよね? 」

 

そうです!

一次情報ですから安心して読み進めてください。

2) 開き弾き時と閉じ弾き時が同じ音色であること

ビンテージバンドネオンには開き弾きと閉じ弾きで音色が極端に異なる個体が度々存在します。
ビンテージ品なので多少は仕方ないと思いますが、閉じ弾きを避けてしまいたくなるレベルのものはそもそも楽器としていかがなものでしょうか。チューニングでどうにかなるならそれは「当たり」の楽器です。

筆者は閉じ弾きが大好物なため、以前使用していたバンドネオンに対しこの点で不満を持っておりましたが、Gutjahr Bandoneonに買い替えて現在大満足!

 

弾けなかった曲はサクサク弾けるわ、宝くじに当たるわ、パチンコで勝つわ、異性にモテるわ、セブンセンシズに目覚めるわ、良い事三昧です!初めの1個以外はすべて嘘です。

 

マ、とにかくGutjahr Bandoneonを買いましょう。

3) 反応性の高いリード
4) 広いダイナミックレンジ

奏者の蛇腹操作に楽器がどこまで追従できるかは重要です。

残金ながら筆者はスキル不足のため、このダイナミクスを有効に使いこなせておりません。

後程、Klaus氏の演奏動画のリンクを貼りますのでご確認下さい。

 

Gutjahr Bandoneonは左右の音量のバランスも良好であります。

マ、とにかくGutjahr Bandoneonを買いましょう。

 

 

5) 全てのボタンの反発力が一定かつ開閉機構に不具合がなく完全であること

 

 

「なにィ! ビンテージのバンドネオンに不具合があると申すか? 何言うとんじゃワレ!ちょっとツラを貸してもらおうかのう!」

 

まあ、そうおっしゃらずにこちらの画像をご覧ください。

これは筆者が以前所有していたAlfred Arnoldの右手側のサウンドボードです。

 

皆さん、上辺の高音4箇所のボタンに位置するリードブロックがシングルリード発音なのはご存知ですよね。

 

この部分の開閉機構は非常にメンテナンスがしづらいです。スプリングの取替えをやったことがある方はおわかりでしょう。手先が器用でも相当難しいです。

 

短気な方はお手持ちのバンドネオンを直ちに爆破あるいは焼却、その後埋葬し、お坊さんの手配まで終えていることでしょう。戒名もお忘れなく!

 

手遅れになる前に、プロの修理士にお任せすることをオススメします。

 

一方こちら、Gutjahr Bandoneonの右手側のサウンドボードです。

裏側をご覧ください。

 

あれれ~、端っこのはどこいっちゃったんでしょうね。

 

「オイオイ!こんなことが信じられるか? 冗談はよしてくれ!」

 

そうです。3列のリードブロックに組み込まれてダブルリード発音になってますね。

ついでにサウンドボードの表側について述べますと、

 

・ボタン開閉機構のアームがブレない造りになっているため、フラップ(蓋)が浮いたり、フラップ同士が被ったりというトラブルが起きない

 

・フラップ(蓋)が平べったい形状のため従来品より軽い。よって接着が剥がれにくい

 

 

この2点最高です!

マ、とにかくGutjahr Bandoneonを買いましょう。

 

 

 

6) ボタンフィールドからのノイズがないこと

 

 

開閉機構の改善だけではありません。こちらをご覧ください。


なんと、カバーとボタンが接触する音を抑制するために、カバー側の穴の側面にフェルトが貼ってあります。

これにはかなり感激しました。

もちろん単にフェルトを貼っただけでは限界があります。ボタンがブレにくいことが第一です。

 

「カチャカチャした動作音は演奏の味になるんだぜ~!むしろわざと鳴らすぜ~!」とお考えの方も居られるかと思いますが、

 

筆者は演奏には必要ない音と考えております。

「カチャカチャうるせえし、気が散ってしょうがねえぜ!」と、これはただの考え方の違いです。

 

 

なお、筆者はボタンを台形状の配置にしておりますがこれは 580 €の追加オプションです。

楽器の基本価格は 5,680 €です。(2019年2月現在)

これには

・ボタンの隙間が等間隔になることで、ボタン間の距離を把握しやすい

・ボタン全体が狭まって配置されたことにより、遠くのボタンに指が届きやすい

 

というメリットがあります。

ただし、移行にはかなりの勇気と多少の練習が要ります。

 

 

「従来の曲線的な配置が好きだし、他の楽器に触れなくなるから困るなあ」という方も居られるかと思いますので、このオプションを適用するかどうかはご自身で判断してください。

 

マ、とにかくGutjahr Bandoneonを買いましょう。

 

7) 蛇腹からの空気漏れが一切ないこと(高い気密性)

そもそも空気が漏れることで良いことは 一つもありません!(断言します)

 

蛇腹に限らず楽器からの どこかしらの空気漏れは非常に厄介な問題です。

せっかく熱心に練習をしても空気漏れが進行することで演奏中の蛇腹の長さの感覚が徐々に狂ってしまい、弾けていた曲が弾けなくなる可能性さえあります。

このGutjahr Bandoneonを手にしたら、あまりの空気漏れの無さに驚くことでしょう。

 

演奏中の空気の損失が少ないため、蛇腹の押し閉じの切り替えに余裕が得られます。

これは閉じ弾き好きにはうれしい要素ですから、とにかくGutjahr Bandoneonを買いましょう。

 

 

 

ここまでの説明を踏まえた上で、Klaus氏の演奏動画を貼らせていただきます。

 

これらは2018年にバージョンアップしたGutjahr Bandoneonでの収録です。
初期のGutjahr Bandoneonへの評価を未だに引きずっている方は是非ご視聴下さい。

そして、この楽器のコンセプトに賛同される方は是非Klaus氏に問い合わせしてみて下さい。bandoneon@klausgutjahr.de

 

C-Dur Präludium von Bach

https://www.youtube.com/watch?v=aoj3hxeOO3A

 

Le Coucou

https://www.youtube.com/watch?v=gtARZsT46KQ

 

El choclo

https://www.youtube.com/watch?v=4ToxNuB6qaw

 

Quejas de bandoneon

https://www.youtube.com/watch?v=Uls9lCzU7R8

 

 

 

 

 

The 回し者!いえ、これはあくまでも参考情報です。

 

ご自身の基準で好きな楽器を選ぶことが重要なのです。ただし、そもそもの基準が無ければ他の人の意見に振り回されるだけです。

 

そのためには、なんでもいいから1台目を買うことです。

他のバンドネオン業者が複数気になる方はとにかく問い合わせをすることが重要です。

問い合わせ & 見積もりあるのみです。情報を手に入れなければ検討のしようがありません。

 

こんなコラム読んでないで今からメールを打ちまくっていただきたい。

 

バンドネオンだからといってロクに調べもせず飛びついて「思ったのと違っていた」というような大馬鹿野郎は市中引き回(以下略)、高額な買い物ですから売約前にデモ演奏くらいは聴きましょうね。

「バンドネオンはたまらねえぜ、ゲヘヘ」とおっしゃるコレクターの方は、全業者からバンドネオンを購入してご検討ください。

 

荒業ですが、全業者の製品のレビューが出来ますから最強です。

で、私の代わりにコラムを執筆していただきたいです。

以上、それではまた

チャオ!

 

 

 

 

外道バンドネオン奏者 マルヤマ

[経歴]
1982年静岡県生まれ。東海大学電子情報学部電気電子工学科卒業。電子音楽の研究、電子楽器の衝動買いなどをするうちに何故かバンドネオンの魅力にはまり、2012年より小川紀美代 氏にバンドネオンを師事。2018年9月より蛇腹党に入党し、外道バンドネオン伝道師として自身の独断と偏見に基づいた記事を執筆している。