Interview vol.9 北村 聡[バンドネオン]Satoshi Kitamura[BANDONEON]

蛇腹党インタビューVol.9 蛇腹党的人間国宝!バンドネオン奏者北村聡さんです

—北村さんはデビューして今年で何年目でしょうか?

「奈良から上京して演奏活動がスタートしたので今年で20年です。
大学1年からバンドネオンを趣味として楽しんでいたんですが、小松亮太さんに出会い東京でのレッスンに誘って頂き、思い立ち大学中退して上京、大きく人生が変わりました。
今も演奏活動ができている事に自分自身が驚いてます。」

—-世間では珍しがられたり、難しいとされているバンドネオンですが、北村さんにとってはどの様な存在なのでしょうか。

「小さい頃から楽器好きでピアノ、トロンボーン、エレキギターを弾いてました。どれもうまくはなかったですが…音楽は好きだけど、子供ながらに生業にするには厳しい世界だと感じていたので、大学から始めたバンドネオンも趣味として楽しんでいました。
なので、今とは状況が違いますが、奏者が少なかったので演奏機会に恵まれ実戦で叩き上げてもらいました。他の楽器だとこうはならなかったかと。
尊敬する音楽家や仲間たちとの演奏や繋がりを通じて、素晴らしい経験ができているのはこの楽器のおかげで、とても感謝しています。」

—バンドネオンは一般的にタンゴの演奏に使用されますが、北村さんはバッハなどのクラシックも演奏されていますね。ご自身で導いた姿なのでしょうか?

「クラシック音楽はそんなに弾く頻度は高くないですよ、門外漢ですしテクニックもなく…
タンゴの中にこそバンドネオンの旨味があると思っている原理主義者ではありますが、様々な音楽に挑戦してみたいと思ってます。」

—-今後の活動や挑戦していきたい事など教えてください。

「計画的かつ積極的に行動する事が大変苦手で今まであまり考えてきませんでしたが、お世話になっている作曲家の方々に委嘱した作品も増えてきたので、アルバムとしてなにか形に残したい思いはあります。」


—アルバム!とても楽しみです!

「ピアノ奏者 パブロ・エスティガリビアを招聘して充実したツアーを行ったのが1年前。コロナ収束後に海外との行き来が自由にできるようになれば、また日本での共演を企画したいです。
来年9月には父親が主催している奈良タンゴ祭が開催されます。隔年開催で第4回目となり、おそらく日本で唯一のタンゴフェスだと思うので、皆様に是非お越し頂きたく宣伝など積極的にしていきたいと思っています。」

奈良タンゴ祭http://web1.kcn.jp/kitamura-project/

—-直近の活動のお知らせなどありましたらお聞きしたいです。

「バイオリン奏者の金子飛鳥さんとのデュオツアーが10/17より始まります。バッハやタンゴ、ディエゴ・スキッシに書いてもらった新作など盛り沢山のプログラムになりそうです。
来月頭には久しぶりにトリオセレステのライブがあります。ギター奏者の藤本一馬さんをゲストに迎えます。とても楽しみにしているので、是非ご注目ください。」

マレー(金子)飛鳥 https://www.askaviolin.com/

—いまプロを目指している方、これからバンドネオンを始める方に一言お願いします!

 

ご存知のようにバンドネオンは数が少なく、お金があっても楽器店に行ってすぐ購入とはいかないです。また値段も売り手の言い値なので、クオリティがそれほど良くなくても、人の手を渡っている間に高くなってしまっている事も。ただ悪意をもって値段をつりあげてやろうとしてるわけではなく、売り手が楽器の価値が分からず適正な評価に基づいたものではない価格で売ってしまう事も多々あるかと思います。これから楽器の購入を考えている方には認識して頂いて直接その”面構え”、演奏できる方に同行してもらい音を確認して欲しいと思います。蛇腹の気密度、リードの状態(1音出すとオクターブで2枚リードが鳴りますが、一枚折れていたりする事も)も要チェックです。
大学から楽器を始めるというのは遅く、今自分の演奏力、レベルでも演奏活動させて頂いてるのは幸せです。もしプロを目指している若い方いれば、北村でも弾くことができるんだから、自分にもできると思って欲しいですね 笑。
自分の経験や感覚を他人に伝えるのは苦手ですが、興味はあります。大きく看板は掲げていませんが、レッスンもしていますので上達の一助になれば嬉しいです。

 

—それから、古墳が好きとお聞きしたのですが・・古墳の魅力を教えて頂いてもよろしいでしょうか?

「奈良で生まれ育ったので土地柄気になる存在で 笑、小学生の頃は日曜日に父親をけしかけ県下の主要古墳に連れて行ってもらいました。ですので古墳好きと言っても、奈良の古墳中心のレベルなんですけどね。
当初はその形に惹かれてましたが、造成された背景や歴史を学ぶとヤマト王権と地方との関係や朝鮮との繋がりなどの文化の伝播に興味を持ちました。ひんやりとした石室に入った時の黄泉の国とつながったかのような感覚はたまらないです。」

11月01日にBellows shake concerthttps://bsc-tokyo.com/にてマレー飛鳥さんとDUO配信LIVEがあります!

12月には古墳トークショーも計画中です!

—-ありがとうございました!

撮影:小岩井ハナ / ヘアメイク:鎌田 真理子  / Direction:蛇腹党

撮影協力:Bellows Works Tokyo , ロケ地:北千住

衣装:ARCH∧BES(アークビス)http://www.roundvalley.co.jp/

北村 聡(Satoshi Kitamura)

奈良県出身。

関西大学在学中にバンドネオンに出合い小松亮太に師事、ブエノスアイレスではフリオ・パネのレッスンを受ける。カナダ、チリ、アルゼンチン、韓国、シンガポールなど世界各国で演奏。

11年、アストル・ピアソラ五重奏団元ピアニスト、 パブロ・シーグレルのアジアチームに選抜される。

14年、東京オペラシティ リサイタルシリーズ「B→C」に出演、意欲的なプログラムに挑戦し好評を得る。

17年、ミカ&リチャード・ストルツマンより招聘され、カーネギーホールにて演奏。

18年には中谷美紀主演の舞台「黒蜥蜴」に演奏で参加。

20年、第21回ウィーン アコーディオン フェスティバルに出演。

これまでに鈴木大介、舘野泉、波多野睦美、夏木マリ、EGO-WRAPPIN’、川井郁子、中島ノブユキ、ディエゴ・スキッシ、カルロス・アギーレ、パブロ・エスティガリビア、東京交響楽団と共演。

NHK「八重の桜」、映画「そこのみにて光輝く」「マスカレード・ホテル」をはじめ様々な録音に参加、繊細な表現には定評がある。

喜多直毅クアルテット、ジャノタンゴ、三枝伸太郎Orquesta de la Esperanza、大柴拓カルテットなど数多くの楽団に参加、活動中。

 

デスコグラフィー・参加音源(一部抜粋)

中島ノブユキ:散りゆく花、MELANCOLIA、PASSACAILLE、エテパルマ 夏の印象

藤本一馬:Dialogues

Cuatrocientos:el sabor de Cuatrocientos

生水敬一朗&北村聡:展覧会の絵

三枝伸太郎 Orquesta de la Esperanza: 三枝伸太郎 Orquesta de la Esperanza、FLOWERS

喜多直毅クアルテット:Winter in a Vision、Winter in a Vision 2

Trio Celeste&Sayaca: Trio Celeste&Sayaca

JacroTangs:Straight Ace

大柴拓カルテット:flowing out

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